EVENT イベント・公演

2025年3月19日に第7回日立京大ラボ・京都大学シンポジウムが開催されました

第7回日立京大ラボ・京都大学シンポジウム
「新たな価値の社会実装」

経済価値を重視する傾向が強い現代社会のなか、持続可能性を支える環境価値や人間中心の社会価値など、多様な価値への関心が高まっている。これらの価値を社会実装しようとすると、多くのステークホルダーが関与し、それぞれの異なる価値観や利害が複雑に絡み合う現実に直面する。ときに対立することもある多様な価値をどのように調和させ、経済価値に留まらない「新たな価値の社会実装」をどう進めていけばよいのだろうか。

2025年3月19日に、百周年時計台記念館 百周年記念ホールで開催された、第7回日立京大ラボ・京都大学シンポジウム「新たな価値の社会実装」では、さまざまな企業による新たな価値づくりの取り組みを紹介。各社が描くビジョンや、現場で直面した課題を共有しながら、具体的な解決策や実践の方向性を探る議論が深められた。今年度は会場およびZoom Webinarでのオンライン生配信に、全国から約260名が参加した。

開会挨拶



時任 宣博 京都大学 副学長(評価・研究拠点)

冒頭の挨拶に立ったのは京都大学 副学長(評価・研究拠点担当)の時任氏。本シンポジウムのプログラム内容を紹介し、「後半のパネルディスカッションでは、本日の登壇者が所属する各社が描くビジョン、現場で直面している課題を共有しながら、より具体的な解決策や実践の方向性を探る議論を深め、『新たな価値の社会実装』というテーマに一定の方向性を見出せれば」と話した。また、本シンポジウムを通じて、日立京大ラボの活動への理解にもつなげたいと期待を述べた。

司会は、嶺 竜治 日立製作所研究開発グループ基礎研究センタ日立京大ラボ ラボ長代行、京都大学成長戦略本部特定准教授(日立未来課題探索共同研究部門)が行なった。

基調講演1:「“価値の世紀”の行方 ―価値多層社会へ向けて」

 

出口 康夫 京都大学文学研究科長・教授、京都哲学研究所共同代表理事

出口氏の専門は数理哲学。確率論・統計学の哲学、科学的実在論、シミュレーション科学・カオス研究の哲学、カントの数学論、スコーレムの数学思想、分析アジア哲学など多岐にわたる。今回は21世紀を“価値の世紀”と位置付け、京都哲学研究所が目指す「価値多層社会」について基調講演を行った。


「価値」は誰でも知っている言葉だが、改めて「価値とは何か?」と問われると、その答えは人によって千差万別だろう。肉体的・精神的な快楽もしばしば価値の一種とされるし、ソクラテスは「善く生きること」に価値を置いた。18世紀のカント以降、哲学では、価値は「真(存在・認識に関する価値)」「善(道徳・倫理における価値)」「美(美的な価値)」の三種類に分類されることが標準となっている。

私としては、「価値とは何か」という問いを、身体行為に即して考えてみたいと思っている。具体的には、価値とは身体行為が向かう先、行為の方向性を定めるベクトルだと言えるのではないか。我々は生きている限り、日々様々な行為を行っている。数分で終わる短い行為もあれば10年や20年にわたって続く行為もある。あるいは人生そのものを何十年にもわたるひとつの身体行為と捉えることもできる。一つの価値を掲げ続けることで、これらの様々な行為がひとつに束ねられ、同じ方向を向くことで、個人の行為に首尾一貫性が生まれる。また企業や大学などの組織において、価値を言語化し、個々のメンバーに腹落ちさせ、共有することで、個人の行動を互いに協調させ、調和させることもできる。この意味で価値とは「私」を束ねて「われわれ」を作る接着剤のようなものだとも言える。

歴史を大きく振り返ると、20世紀では、科学技術が発展し、理想的な経済システムが構築されれば、人々は幸せになり、地球社会はより良くなり、戦争はなくなると考えられていた。たしかに、平均寿命や健康寿命が伸び、幼児死亡率が減るなど、生活が改善されている点は見られるが、本当に社会が良くなり戦争はなくなったかというと、実態は真逆である。これが今、我々が直面している状況だ。

経済発展・効率化は重要だが、それだけでは価値は実現されないということは経済学者も重々に理解しており、新たな価値を取り込んでいく流れが起きた。たとえば、20世紀半ばには厚生経済学(welfare economics)という、経済学の外にあった「福祉(welfare)」という価値を経済学に弾込めすることにより、最初からwelfareも目指す経済学をつくろうという動きが出てきた。また、環境を守るという価値を経済学に内在化する環境経済学(environmental economics)が離陸した。今は、Well-beingを弾込めした経済学をつくっていこうという動きがはじまっている。

技術においても同様に、利便性・効率性が一番の価値だとされていた。しかし、それでは足りないということで、人間の尊厳やWell-being、環境保全といった技術の外側にあった価値を、最初から弾込めして、それらを実現する技術を生み出すという、外的価値の内在化が進行している。このような動きは、世界中で同時多発的に起きているのではないかと私は感じている。

このように科学技術と経済が発展すればよしとされていた20世紀を科学技術と経済の世紀だと言えるとすると、それだけでは足らず、改めてわれわれ、そして地球社会はどのような価値を目指すべきかが問われている21世紀は価値の世紀だと言えるだろう。

ところが、重要とされるこれらの価値を一つに定めたり、一元的な指標で測ることは難しい。たとえば、Well-beingには人間として基本的な共通の要素がありうる一方で、社会・地域や文化や時代が違えば大きく異なる部分もありうるように思える。このように価値がそもそも多層的・可変的なものだとすると、「目指すべき価値とは何か」を考えれば考えるほどに、個人、文化、社会、時代の多様性や多元性を視野に入れなければならなくなり、「唯一の正解はない」という事態が前景化してくる。このような状況を前にして、答えを放棄するのではなく、いかにして、できるだけ多元的な回答を言語化し、それらを多層的に積み上げていくのかが現代の課題ではないか。

京都哲学研究所では「価値多層性」「価値多層社会」を目指す活動をしている。多元的な世界とは、いろんなアイデンティティや価値観を有する個人や社会が混じって共存している世界だろう。一つ一つが異なった独自の色を持った球が混在しているイメージで語ることもできると思う。多層性は、多元性をより一歩進めて、一つひとつの球自体が、複数の色が単色にまじり合わず異なったまま、層を成しているイメージだ。一人一人の個人、一つずつの社会すら、場合によっては互いに矛盾対立する複数のアイデンティティや価値観を多層的に共存させているというのが我々の基本的なあり方ではないか。

このような価値多層性を視野に入れたとき、哲学・人文学の役割は唯一の正解がない問いにチャレンジすること、具体的には、唯一の価値を掲げるのではなく、10のものを11に、100のものを200にと、価値のより多様な選択肢を提示すること、開くことにあると考える。そのときに重要なのは、歴史的文脈化という垂直的なネットワークと、概念的体系化という水平ネットワークという二重のネットワーク化によって、価値の提案に「真正性(authenticity)」を与えることだろう。

このような新たな価値の提案、価値の多層化を目指し、哲学自体をもう一度バージョンアップすることもまた、京都哲学研究所の大きなミッションの一つである。かつて、アリストテレスは幸福とは「愛する友との協働・共生」だと断言した。ニーチェは「この世界を全肯定する力をもつこと」が「優れている」ことだという価値提案を行った。一方、ここしばらくの哲学は通常科学化して精密になりすぎてしまい、こうした大きな提案力が弱まっていたのではないかと思う。現代の哲学の役割は、過去の提案を歴史的文脈として踏まえつつ、新たな提案によって社会の選択肢を増やすことにある。

その一環として、私自身は、いかなる行為も自分ひとりでは不可能であるという「根源的なできなさ」を基軸にした人間観を提案しようとしている。西洋近代の枠組みでは、自立できる人間が理想とされており、それに基づく教育がなされてきた。これに対して私が提案するのは、自立した“I”がまずあって、それらが合わさって“WE”になるのではなく、<I>が成立するためにはそもそも“WE”が存在している必要があり、そしてその“WE”にはさまざまな動植物、AIやロボットなどの人工物も含まれるという人間観、価値観である。

京都哲学研究所では、価値多層社会の実現に向けて、対話のための論点・議論空間を可視化・拡張するフレームワークとして、「KIP Matrix Model(仮称)」という二次元のモデルを提案している。「課題の深層に横たわる人間観・社会観・世界観・価値観へと潜行し、再び社会に浮上する縦軸」と「多様な理論・立場を可視化し、相互理解・連携・共創を促す横軸」による、二重のコンテクストをつくっていきたい。本研究所は立ち上がってまだ約1年半だが、多様な価値を可視化し共に歩む仲間を集めることを価値多層社会への第一歩だと考え、世界各地のネットワークをネットワークするハブとなろうと活動している。もし興味があればぜひご参加いただきたい。

基調講演2:「生活者価値デザインによる社会実装への挑戦」

岩﨑 拓 博報堂常務執行役員、京都大学成長戦略本部 フェロー 

岩﨑氏は、博報堂でコンサルティング事業を統括するとともに、コーポレートカルチャーを再構築する博報堂DY京大ラボのオーナーとして活動している。基調講演では、博報堂が独自に掲げる「生活者価値デザイン」という概念、そして出口氏との共同ラボの活動における研究成果と博報堂における実践事例を紹介した。


「生活者価値デザイン」という概念の根っこには、博報堂がフィロソフィーとして掲げる「生活者発想」がある。通常のマーケティングは対象を「消費者」とするが、博報堂は多様化した社会のなかで主体性をもって生きる「生活者」を対象にしてきた。しかし今、マーケティングの世界もまた大きく変化している。日本マーケティング協会によるマーケティングの定義は、「競争と市場創造」(1990)から、「ステークホルダーとの関係性醸成と持続可能な社会実現」(2024)へとパラダイムシフトした。これにともない、我々の「生活者発想」もアップデートを求められている認識を強く持っている。

我々が着目するマーケティングの変化の背景を3つの観点から紹介したい。ひとつめは「社会/経済」。資本主義についてさまざまな議論が起きているが、私はステークホルダーを大事にする資本主義へと向かっていると考えている。ステークホルダーとなる、株主や顧客、取引先、経営者や従業員、市民、地域住民などは、すべて「生活者」に包摂されるという観点で考えられる。将来的には、出口氏の言葉で言うと「Self-As-We資本主義」という資本主義の新しい紐解き方の可能性も感じている。

二つめは「産業/市場」の枠組みである。これもまた、産業ベースの市場から顧客との関係ベースの市場になってくると見立てている。従来は、企業が属する産業が市場を決めており、企業が主体となり産業を起点とする市場を定義してきた。しかし、デジタル化が進むなかで、生活者が主体となり製品・サービス群で市場を認識・選択するようになっている。今後は、生活者の「体験価値」が主導権を握る市場の枠組みが生まれ、さらには産業の枠組み自体にインパクトを与えていくかもしれない。

三つめは「メディア」である。博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所(以下、メディア環境研究所)「メディア定点調査『メディア環境の構造変化』」によると、2018年を境にマスメディアとデジタルメディアの接触時間が逆転した。また、IoTやスマートシティもメディアとして捉えられるという見方もあるが、メディア/非メディアがボーダレス化してメディア接触時間は増加し続けており、プラットフォーマーの力が大きくなっている。そういう意味で、社会インフラとして広義のメディアの影響力が高まっていると言える。

メディア/非メディアがボーダレスになり、ヒトとモノの境界線から新しい生活や市場が生まれることを、博報堂では「生活者インターフェース市場」と呼んでいる。我々は、これからのメディアが生活者の「あいだ」で意味や価値を創造する社会インフラになる可能性に注目している。一方で、デジタルメディアにおいては、フィルターバブルやエコーチェンバー、アルゴリズム依存による過度な効率化への傾斜、データ所有権、著作権の侵害など、新たな問題も顕在化している。メディアの受け手はこの問題に巻き込まれているだけなのだろうか。

メディア環境研究所によるレポートは、デジタルメディアに接する人たちはこれらの問題にある程度気づいており、特に10代では約半数がSNSやネットで情報が偏るリスクを理解していることを明らかにした。実際に10代の若者たちはフィルターバブルの外側にアクセスしようと、アルゴリズムを逆手に取って情報が偏らないような動き方をしている。決して受け身だけではないところに大きな示唆があるのではないかと思う。

このレポートを見て「再帰性」という言葉を思い出した。再帰性には、様々な意味があるが、私なりの整理では、同じ構造を適用して精度を向上する「Recursive」と、自らを俯瞰して未来を自覚的に決める「Reflective」というふたつの意味がある。前者はデータ・エンジニアリングやデータ・サイエンス、後者は人文社会知の営みに属する。我々に求められるのは、このふたつをうまく組み合わせていくことである。すでに10代の若者たちのなかにこうしたリテラシーが育ってきているところを見ると、主体性をもつ「生活者」との関係性のなかでメディアが生成・再創造を繰り返す未来があるのではないか。

このような流れのなか、博報堂DYグループは「生活者発想」をアップデートするために、2024年より京都大学の出口氏らと「カルチャー創生ラボ」をはじめた。ご縁となったのは、三木清の論文「生活文化と生活技術」(1941)にあった「生活者」という言葉だった。フィールドワークや「生活者発想」を探求する議論含めた11のセッションを経て、抽出された数多くのキーワードからは「生活者発想」の「そもそも」が見えてきた。我々は、ものごとを二項対立的に捉えて、外から設計・コントロールしようとすること、また自分は独立した理性的な存在であると捉えがちであり、それが様々な問題を引き起こし、解決を難しくしている現状があるのではないかという事が見えて来た。そのような我々自身を問い直す事が、生活者発想の意義ではないかという示唆が得られつつある。研究と呼応する形で、博報堂でも実践事例が生まれており、いくつか紹介したい。

ひとつめは、認知症の状態にある方々にホールスタッフとして働いてもらう「注文をまちがえる料理店」(2017〜)。ヒトを丸ごと捉える「生活者」という概念で、人間を多面的に捉えようとしてきたが、経済合理性の世界から取り残されがちな人々を含めた“われわれ”を捉えきれてはいなかった。この事例からはヒトとヒトの関係性、モノ、環境を包摂する「生活世界」と捉える考え方が必要ではないかという示唆を得ている。

ふたつめは、廃棄されていたホタテ貝殻からつくる環境配慮型のヘルメット「HOTAMET」(甲子化学工業、2023〜)である。環境保全、CO2排出を半減させるだけでなく、貝殻のリブ構造の強度による実用機能も果たしている。経済価値と社会価値を両立させつつ相互に好循環を生む事例であり、このような発想はさらに必要になると考える。最後の事例は富山・朝日町の「ノッカルあさひまち」(2021〜)。自力移動が難しい高齢者の交通手段確保のため、地域住民の「移動ニーズ」と「マイカー移動の余白」をマッチングするデジタルインフラを提供している。この事例では、住民自らが参加してこのシステムを育てていることが大きなポイントになると思う。

マーケティングサイドから、「生活者の価値をどうデザインするのか」という話をさせていただいた。事業会社としての我々にとって、これまで有効だった「生活者発想」のアップデートと実装、つまり哲学と実践を両輪で回していくことが非常に重要になってくると考えている。

講演1:「わたしのデジタルツイン「Another Me®」」

永徳 真一郎 NTTデジタルツインコンピューティング研究センタ主任研究員

永徳氏は、NTTデジタルツインコンピューティング研究センタの主任研究員。実在の人のデジタルツイン「Another Me®」が、社会のなかで本人に代わり活動することで、さまざまな制約を超えて自己実現や成長の機会を飛躍的に拡大することをめざす研究・開発を行なっている。


NTTのIOWN構想の技術分野の一つとして、多様な産業やモノとヒトのデジタルツインを自在に掛け合わせて新しい価値を生み出すデジタルツインコンピューティングの提案をしている。また、従来のデジタルツインの概念を発展させ、ヒトの内面をも含むデジタルツインの表現とその相互作用をサイバー空間上で実現する可能性も追求している。そのゴールのひとつが、人の個性を備えたデジタルな分身「Another Me®」である。

「Another Me®」の要件は「本人性」「自律性」「一体性」の三つからなるのではないかと考えている。「本人性」については、見た目、発話内容や声、ふるまいの再現性にとどまらず、価値観や感性のモデル化、経験から生み出される記憶の構造化など、深層的な「本人性」の実現に向けた検討を行なっている。「Another Me®」のユースケースにおいては、「誰にとっての価値か?」という観点や公認性のレベルを軸に検討を進めている。現時点では、本人らしさを再現することにより役者など表現者の表現可能性を広げること(表現活動)、コミュニケーションを一部肩代わりして人間関係の構築をすること(コミュニケーション)のふたつを主に想定している。

技術開発を進めるなかで「Another Me®」は「私であって私ではない存在」であるという矛盾に直面した。「Another Me®」は私の一部である一方、「Another Me®」が私と完全に一致すると共存する意義がなくなってしまうため、私にとって「Another Me®」は私であってはならないことになるからだ。そこで、哲学にその考えを整理する可能性を求めて、京都大学の出口氏、大西琢朗氏と共同研究を行い、検討を実施した。そこでの議論を経て、「私」には「Functional I(機能的な私)」と「Indexical I(指標的な私)の二つの軸からなると考え、両軸から私、さらには「Another Me®」をとらえることで、私も他者も「Another Me®」を「分身の私」を感じうるとの考えを立案した。

「Functional I」は「なにかができる/できない性質の集合体としての私」であり、「Another Me®」との関係においては観測可能な範囲における“機能”の類似性をもつ。「Indexical I」は「今ここにいる私」であり、私と「Another Me®」の時間・空間的関係性(Connectedness)と、私が「Another Me®」を知り得ている感覚(Ownness)」から構成される。このような「Functional I」と「Indexical I」の組み合わせにより、「私」を感じうるかどうかが決まるのではないか。

この考え方に基づき、「Another Me®」のユースケースを見なおすと、表現活動は「Functional I」、コミュニケーションでは「Indexical I」の観点での「Another Me®」の活用だと言える。前者については、歌舞伎役者・中村獅童氏のデジタルツインによる表現の実証実験を進めてきた。2023年の12月大歌舞伎では中村獅童氏の音声・動作を再現する「獅童ツイン」を上演。「Another Me®」による舞台表現の可能性を実感いただいた。後者については株式会社NTTドコモが技術開発を行い、株式会社Relicが事業運営を行うメタコミュニケーションサービス「MetaMe®」を通して、メタバース空間で「Another Me®」技術の検証を行なった。

このようなかたちで「私であって私でない」という相矛盾する存在を整理し、ヒトとデジタルな存在の新しい関係性とその可能性を引き続き探りながら、新たな価値の表現として研究開発を進めていきたい。


講演2:「総合金融グループとアカデミアで挑む:社会課題解決への価値創造」

木村 陽介 京都大学SMBC京大スタジオ イノベーションプロデューサ

木村氏は三井住友銀行 社会的価値創造推進部から2024年7月に開設された京都大学SMBC京大スタジオに出向し、総合金融グループとアカデミアの連携を通じた、社会課題の解決に取り組んでいる。総合金融グループは、なぜこうした取り組みをはじめたのだろうか。


三井住友フィナンシャルグループは、現在の中期経営計画で「社会的価値の創造」を掲げている。一方で京都大学は研究成果の社会への還元を標榜しており、両者の方向性が合致したことから「社会に開かれた工房で新たな社会を拓・啓く」というコンセプトのもと、SMBC京大スタジオが立ち上がり3つの研究テーマに取り組んでいる。

一つめは、「発達障害特性がある人材の就労における能力発揮支援」。目指すのは「誰もが自分らしく生きられる」「得意・不得意の凸凹が当たり前に受け入れられる社会」である。発達障害特性がある人材は、自己の客観視やコミュニケーションが苦手で、メンタルヘルスの不調により就労不能に至ることが多く、国内では非就職者数が240万人いると推計される。しかし海外では高度・先端IT領域で活躍する事例が報告されているという。現在、京都大学とともにその医学的エビデンスを得るための研究をし、SMBCグループのシンクタンク・日本総合研究所(以下、日本総研)とともに現場での取り組み方の検討も進めている。

二つめは「貧困・格差・虐待の連鎖を乗り越える教育アプローチの研究開発と普及」。「子ども達が互いに尊敬し合い、生き生きと学校に通っている状態」「学校の先生方が教師という職業にやりがいをもっている状態」という社会的価値を目指すプロジェクトだ。現代社会で「貧困の連鎖」が課題となっているが、虐待と貧困にも関連があると言われている。本プロジェクトでは、「貧困・虐待の連鎖」を断ち切るアプローチとして、大阪市立生野南小学校(現・田島南小中一貫校)が開発した「『生きる』教育」に着目し、その重要性について研究を進め普及戦略を考えている。

三つめは「誰もが生前・死後の尊厳を保つための持続可能な身じまい、意思決定とその支援」。京都大学、日本総研とともに「高齢者が人生の身じまいの段階で過度に多くの自己決定を強いられない」「高齢者を支える自助・公助・共助のバランスを見つける」ことを目指している。このテーマは非常に分野横断的で問題の全容がまだ捉えられていないため、市民との対話を重ねて個々人の身じまいに関する価値観を収集するとともに、専門家とも対話を重ねながら課題解決の糸口を模索している。これらのテーマに加えて、SMBC京大スタジオでは新しいテーマをつくるエコシステムを構築するべく研究テーマの公募も行なっている。

なぜ、総合金融グループがこのような取り組みをするのか。SMBCグループは現中期経営計画の三本の柱のひとつに「社会的価値の創造」を掲げている。社会課題の拡大・深刻化が進むと同時に、各ステークホルダーが企業を測る“物差し”に社会的インパクトが加わっているからだ。社会の持続可能な成長なしに、企業の持続的成長もありえないという考え方の基、SMBCグループでは社会課題を起点に、金融・非金融にかかわらず、経済的価値・社会的価値双方の実現に取り組んでいる。

今回は、金融を切り口とした取り組みを紹介したい。先ほど紹介したSMBC京大スタジオの活動も、大学の研究シーズにお金が回るエコシステムを構築する側面がある。また、銀行の固有業務においては、「グリーン預金」「ソーシャル預金」という社会課題解決にお金が回る仕組みづくりをしている。従来の預金は、基本的に預けたお金の融資や運用先を選べないが、これらの預金はサステナブルファイナンスやインパクト投資の分野に資金使途を限る形で運用する。ほかにも、社会・環境にポジティブな影響を与え、ネガティブな影響を軽減するお客さまの事業を対象とする「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」など、インパクト評価を活用したさまざまな金融ソリューションを提供している。

新しい価値を提案して社会実装する活動には、各ステークホルダーの巻きこみ、そのための定量的なデータの示し方や価値の言語化が今後の課題だと認識している。SMBC京大スタジオの活動は、市民、企業、行政のみなさまと協力して進めたいと考えているので、今回のような機会に連携できる余地が発見できれば幸いである。

講演3:「Society5.0実現への挑戦 ~日立市共創プロジェクトから日本を元気に~」

佐野 豊 日立製作所ひたち協創プロジェクト推進本部長

佐野氏は、日立製作所大みか事業所への入社以来、SEとして交通やエネルギーなど社会インフラの制御システム、コンポーネント開発などに従事してきた。現在は、日立市と推進する「次世代未来都市の実現に向けた共創プロジェクト」の推進リーダーを務めている。


「これまで、日立は世界のさまざまな地域でスマートシティの取り組みを進めてきた。0から未来都市をつくるグリーンフィールド型の事例として千葉・柏市の「柏の葉プロジェクト」、既存のまちをアップデートするブラウンフィールド型の事例として「日立市共創プロジェクト」を紹介したい。

柏の葉スマートシティは、柏市と三井不動産、東京大学が中心となり公民学連携で推進するまちづくりだ。環境共生、健康長寿、新産業創造という3つのテーマをもとに、世界の未来像をつくる街として取り組みを進めてきた。日立は社会インフラを支えてきた経験を生かし、三井不動産のテクノロジーパートナーとして参画。システムの計画段階から、地域ニーズやアウトカムを議論しする共創型で取り組むなかで、市域参加型の地域づくりの現場に接することができた。リビングラボ「みんなのまちづくりスタジオ」で、我々は参加者の方々に健康に関するデータを提供してもらい、これを活用したフレイル予防AIの開発を進めた。この取り組みを通して我々が学んだのは、オープンで粘り強い対話により信頼を構築することだった。

「日立市共創プロジェクト」は、行政区域全域で全市民へのユニバーサルサービスをともに推進するという点、また我々の創業からの長い歴史を踏まえる点において、まさにブラウンフィールド型だと言える。日立製作所(以下、日立)は1910年の創業以来、一貫して技術・製品を通して社会に貢献するという企業理念を継承してきた。また、日立の歩みは創業地・日立市との歩みでもあり、特別な絆のもと地域基盤づくりを行なってきた。現在も、市民の約7割は何らかのかたちで日立グループに関わるとされる。また、日立市には日立グループと長いつきあいのある団体、企業、教育機関が多数存在する。

現在の日立市は、人口減少や高齢化、公共交通などの減便などの社会課題を抱えている。また、国内有数の産業都市であることから、地域企業の脱炭素化が求められるなど複合的な課題が山積している。その解決のために、日立が培ってきたさまざまな地域・分野での経験やデジタル技術を複合的に投入し、「グリーン産業都市」「デジタル健康・医療・介護」「公共交通のスマート化」を中心に活動をはじめている。

日立と日立市の長いつきあいから、行政や住民、関係者から率直な意見をいただけることは、地域共創のアドバンテージになる。一方で地域固有の課題も多い。特に、海山に挟まれた南北40キロの縦長の地形は、山側に住宅地が密集しているため慢性的な渋滞が起き、高齢者の方々の移動が難しいという課題を生んでいる。また、長い歴史のなかで関係者が非常に多く、すべてのステークホルダーのニーズに応えきれないという課題もある。

こうした課題に取り組む重要な鍵は市民参加にある。たとえば、「日立市共創プロジェクト」の共同プロジェクトルームを設置し、市や茨城大学、地域企業、議員の方々と日々活発に議論している。また、市のイベントにも積極的に出展して市民との意見交換を行い、スポーツイベントにも参加して我々自身が楽しみながら市民の方々との一体感を強化している。こうした取り組みも事業投資、人財投資の一環として捉えている。2024年12月に、日立市と共同で立ち上げた「日立市共創プロジェクト」のウェブサイトでは、最新情報を発信するとともに市民の方々の声を拾い上げる重要な場にもなっている。

未来社会は、一人ひとりが課題に向き合い自分ごととしてつくりあげていくものだ。本プロジェクトでは市民の認知から共感、そして行動変容を促すことで地域創生を進めていきたい。全国に目を向ければ日立市と同様の特性をもつ地域は100以上存在する。本プロジェクトから生まれる確実なソリューション、事業モデルを他地域にも展開して日本を元気にしていきたいと思う。

講演4:「地域施策と価値のみえる化」

大輪 美沙 日立製作所研究開発グループ基礎研究センタ 日立京大ラボ研究員

大輪氏は、2016年に日立製作所と京都大学の共同研究部門として設立された、日立京大ラボの研究員。人や社会に注目して地域の持続可能性を高める研究に取り組んでいる。大輪氏のテーマ「価値のみえる化」である。


大輪氏は、2016年に日立製作所と京都大学の共同研究部門として設立された、日立京大ラボの研究員。人や社会に注目して地域の持続可能性を高める研究に取り組んでいる。大輪氏のテーマ「価値のみえる化」である。

我々は京都大学の広井良典氏と「価値のみえる化」を共同研究しており、これまでに日本の未来シナリオをシミュレーションし、地域の持続可能性を高めるには地方分散型社会への転換が必要であるという結論を得ている。地方分散型社会の実現には、地域住民、自治体、企業などのステークホルダーが中心になり、施策を選んで実行することが非常に重要になる。その一助となるべく、経済的影響や環境的影響など、さまざまな価値軸で施策の効果を算出する「客観シミュレーション」を開発した。

「客観シミュレーション」は、人や企業、自然の間で行われるモノやコトのやりとりで生じる相互作用を利用した技術で、地域レベルでやりとりする情報をモデル化する。たとえば、地域に自然エネルギーを導入するとき、発電機の種類や発電規模をさまざまな規模で組み合わせたパターンを変化させることで、経済的・環境的影響を細かくシミュレーションできる。この技術を開発したことにより、ある指標の値が最も良い施策が、他の指標の値では良くないことがわかった。たとえば、域内分配率という指標では一番良いとされる施策は、CO2やコスト削減量は非常に悪い値になってしまう。また、人の価値観によって指標の重要性は異なるため、ひとつの施策ですべての評価指標を良くできないという結論を得た。

たとえすべての人を幸せにできる施策が存在しないとしても、社会を変えていく施策を選択・実行する必要がある。たとえば、施策を実行することで地域は何を目指したいのか、施策の良い面だけでなく悪い面も見えているか、地域の人にとって大切なことを尊重できているかなど、経済・環境とは異なる価値軸でも施策を選べる仕組みが必要だと考える。その新しい価値軸が、社会価値ではないだろうか。

社会価値は、人が生きていく上で非常に重要であるのだが、曖昧で定性的な価値である。我々は経済・環境という価値軸で施策を評価する、定量的なデータを用いた客観シミュレーションを開発してきたが、それに加えて人の考え方や選好のような定性的データを扱う主観的シミュレーションの必要性を感じている。では、定性的データをどうやって扱っていけばいいのか。我々は、社会的インパクトを評価するロジックモデルの応用を検討した。

具体的には、施策をインプットして、最終インパクトとして地域として実現したい目標、その間を多数の指標とそのつながりで表現するモデルをつくろうとしている。さらに、指標をつなぐ矢印に対して、人の主観的な選好基準をつながりの重みとして加えて、人の価値観を表現していく。実際に、我々は九州のある自治体職員の方たちに協力してもらい、地域の健幸に関する事業の社会価値をワークショップで評価してモデルを作成した。地域の目指したい姿に最も重要な影響がある事業をランキングで表現した。このようなシミュレーションを用いることで、従来は比較が難しかった異なる施策を比較し、より地域に合う施策を選択する効果が得られる。また、ワークショップでの議論を通して、地域が目指したい姿を住民が自ら言語化・共有し、広い視野で施策の影響を把握する効果も見えてきた。今後は、人の価値判断基準をものごとの判断に使うことについてより一層研究を進めていきたい。

最後に、研究・フィールドワークで感じていることを紹介する。我々のような地域外の人間が、地域の本当の課題を知ったり、地域に根付く考え方を理解したりするのは非常に難しく、地域の住民、行政、企業と外部の人間をつなぐ地域のコーディネーター的存在の重要性を痛感している。また、地方自治体はすでにあるさまざまな社会課題に取り組んでいるため、新しいことに取り組む余裕がないという課題もある。だからこそ、地域全体で協力しあい自分ごととして課題に取り組む仕組みが必要だと感じている。

モデレーター:水野 弘之 日立製作所研究開発グループ基礎研究センタ 日立京大ラボ長


最後に、登壇者全員によるパネルディスカッションが行われた。モデレーターを務めたのは、日立京大ラボ長の水野弘之氏。冒頭で、「“I” わたしの価値」「(社会課題に対する)施策」「“WE” われわれの課題、われわれがめざす社会」の3階層からなる図のなかに、各登壇者が発表した取り組みを位置付けつつ振り返った。前半は、出口氏の人間観の根本にある「できなさ」をテーマに、それぞれの取り組みのなかで「できなかったこと」を共有した。

博報堂の岩崎氏は「マーケティングの強みは需要サイドからインパクトをつくること。その際に安定的な供給サイドの仕組みや体制をつくることに関して大きな課題がある」として、一社単独での解決ではなく連携・協力の必要性を指摘した。また、人材の問題について「企業にはBtoB人材は多数揃えているが、地域社会に向き合う人材(BtoS, Business to Society)が不足している」ことも課題として挙げた。NTTの永徳氏は「Another Me®をプロダクトに落とし込むときに、骨格として必要なものの取捨選択がまだできていないのだが、本日の講演を聞いていて、何かを決め切ることは正しいのか?という根源的な問いも生まれた」と話した。

SMBC京大スタジオの木村氏は、「経済価値につながりやすいプロジェクトは企業との連携可能性が見込まれるが、学校教育を対象とするプロジェクトはビジネス化や経済価値につなげることが難しい」としたうえで、学校で課題を抱える子どもたちの課題ベースで企業が社会的価値に向かって取り組む動きをつくる可能性に言及。大輪氏の講演にあったロジックモデルが、定性的な社会的価値を定量的に評価するヒントになるのではないかと述べた。日立の佐野氏は、ひとつのプロジェクト組織で複数のテーマに取り組むことによって、ステークホルダーが多くなり解決のアプローチが複雑になるジレンマを語った。また、かつては日立グループのみで解決してきた課題をパートナーやステークホルダーと連携しなければ解決できなくなっている現状の難しさにも言及した。日立京大ラボの大輪氏は、講演においても語られていた地域のなかに入って活動するにあたり、外からきた企業と地域をつなぐ人を見つける難しさを挙げた。

後半は、水野氏がマッチングしたペアで互いのプロジェクトにコメントを述べあった。

日立の佐野氏は、「地域のなかで価値の生産と消費が循環するのであれば、価値の生産者側としての“生活者”にはどのような観点があるのか」と博報堂の岩崎氏に質問。岩崎氏は、富山・朝日町の「ノッカルあさひまち」の事例を挙げ、「マイカーを提供する側も喜びを感じている」と述べ、「我々の定義では生産も消費も同時にする人こそが“生活者”となっている。この事例にひとつのかたちがあるのではないか」と答えた。日立京大ラボの大輪氏は、NTTの永徳氏の「何かを決め切るのは正しいのか」という問いについて、「プロダクトを提供することは、ユーザーを誘導してその使い方を決めさせているという捉え方もあるのかもしれない」と応じ、「我々工学者は、自発的にできあがってくるものを吸い上げて支え、効率的にサポートするものづくりができれば」と感想を述べた。

博報堂の岩崎氏は、SMBC京大スタジオの木村氏が述べた経済価値につなげにくい社会的価値の定量化・言語化の難しさについて、「クリティカルなテーマに正面から向き合われていることに驚いた」とコメント。社会的価値の関係のなかで経済的価値が循環する預金や金融商品などのしくみづくりに加えて、定量的に見える経済的価値に含まれる主観的要素を哲学の観点でほぐし直すことで、「新しい価値の循環がつくれるのではないか」と問いかけた。これに対して木村氏は、「たとえば、アート作品などの価格の変動には人間の本質みたいなものがお金に変わる瞬間があるように思う」と応じ、文化領域での経済価値のあり方を哲学的に観察する視点を示唆した。

同じく木村氏から日立の佐野氏に対しては、多くのステークホルダーが関わるプロジェクトにおける合意形成と進め方について質問があった。佐野氏は「基本的に、取り組みの認知、共感を得る、共感を得た人々が行動変容を起こすという段階に基づいて活動している」と回答。さらに出口氏の講演を受けて「ステークホルダーの価値観を束ねて方向性を見出すことが、成長軌道に乗せるためのアプローチではないか」と考えたと述べた。NTTの永徳氏は「Another Me®」の実装にむけて「サービスデザインや機会をともにすることをマストとして考えないといけないのではないかと思っている」と述べ、地域で活動する日立京大ラボの大輪氏に「フィールドに入るときに気をつけていること」と問うた。大輪氏は「相手の立場に立って話すようにしている。ただ、地元の方たちとの距離を縮めたのは昼食をともにするなどの積み重ね」であったと話し、互いを知り合えるような関係性を結ぶ大切さを述べた。

最後に出口氏によるパネルディスカッションの総括が行われた。出口氏は、ベクトルの先に目指していく価値の実現にもまた「できなさ」があるが、我々は「匍匐前進的に価値を目指すことはできる」と述べた。価値が実現するかどうかは手を離れてしまうが、その実現に向けたあゆみを「全うできるかどうか」については人や企業それぞれの価値観があり、またそこにも根源的な「できなさ」を抱えている。「全う」することさえ我々は意図的にはできない。我々は、持続可能性という言葉に平坦な道をイメージするが、実際には「できなさ」による失敗や挫折、中断に幾度もさらされる。しかし、そこからの復元(レジリエンス)があり、次の世代への手渡しもできる。出口氏は「(持続可能性を)山あり谷ありの冒険のなかで手渡ししていくものとして捉え直すことで、より我々の実態が見えてくるのではないか」と語った。

閉会挨拶

三輪 俊晴 日立製作所研究開発グループ 基礎研究センタ長  

閉会の挨拶には、日立製作所研究開発グループ 基礎研究センタ長の三輪氏が登壇した。アカデミアからの登壇者が多かった例年の本シンポジウムと異なり、今回は各企業からの取り組みの紹介とパネルディスカッションという構成になったことに触れ「次の研究テーマとか次の連携の気づきにもなったのではないか」と語った。また、今回掲げた「新しい価値の社会実装」と言うテーマについて、引き続き関係者・ステークホルダーとの対話や連携を続けることで仲間を増やし、「しっかり自分ごととして実践して、次のステップにつながるような場をつくっていきたい」と抱負を述べた。

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