PROJECT プロジェクト

生物に学ぶ新たな社会システムの可能性

プロジェクトの趣旨

日立京大ラボでは、設立当初の研究テーマとして、環境や文化と共生しつつ社会課題を解決し、超スマート社会を実現するための「ヒトや生物の進化に学ぶ人工知能」の探究に取り組んできました。このテーマでは、たとえば魚の協調行動やゴリラの自律分業のように、相互に接続された個体が自律的に連携し、全体として協調的に動作する生物のもつシステムに倣うことをめざしていました。つまり、世の中の急激な変化にも適応していく生物に学ぶことで、次世代のAIとして、「個々のシステムの自律的動作によって、迅速に外部の変化に対応する制御システム」を創るというねらいがありました。

その後、ヒトや生物の進化に学ぶ人工知能を探究していく過程で、生物に学ぶべき現象や特徴、仕組みは、分子や細胞から生物群まで幅広い領域にわたることや、生物の学びはAIに留まらず、様々な情報システムや社会システムに適用できる可能性があることに気づきました。そこで、現在では、取り扱う生物の現象や特徴,仕組みとその適用先を広げて、様々な生物の現象や特徴、仕組みに学び、現在および将来の社会課題を解決する新たな社会システムのあり方や可能性について、検討を進めています。

生物に学ぶシンポジウム

現在、日立京大ラボでは、様々な生物の現象や特徴、仕組みに学び、現在および将来の社会課題を解決する新たな社会システムのあり方や可能性について、検討を進めています。
その一環として、2019年2月には、日立京大ラボと京都大学の共催で、生物の「群れ」と「進化」に着目し、社会システムのあり方と新たな可能性を探るシンポジウムを開催しました(※1)。

第2弾として、2020年2月には、生物の「社会性」に着目し、Quality of Lifeの向上をめざして、社会システムのあり方と新たな可能性を探るシンポジウムを開催しました(※2)。
本シンポジウムの開催内容の詳細については、「日立評論 特別増刊号 Summer 2020 日立京大ラボ・京都大学シンポジウム 生物の社会性に学ぶ新たな社会システムの可能性 QoLの向上をめざして」をご覧ください。

生き物ひらめきカード

また、日立京大ラボでは、現在および将来の社会課題を解決する革新的な社会システムの開発をめざし、さまざまな生物の現象や特徴、仕組みに学び、飛躍的な着想を生み出すことが可能な「生き物ひらめきカード」を開発しています。

「生き物ひらめきカード」は、表面に生物の現象や特徴、仕組みに関する「生物面」、裏面に社会システムへと発想するための質問と適用例を掲載する「システム面」という両面構成により、生物の現象から社会システムへと着想できる仕様になっています。
「生き物ひらめきカード」の「生物面」のうち、「遺伝・進化」「生態」カテゴリについては、京都大学 フィールド科学教育研究センター 伊勢武史 准教授 、ならびに京都大学 農学研究科 土畑重人 助教(所属はニュースリリース当時※3)による監修の下、開発しました。

本文中の参考文献
※1:https://www.saci.kyoto-u.ac.jp/event/e_event/10109.html
※2:http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/events_news/department/openinnovation/events/2019/200210_1105.html
※3:https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/events_news/department/openinnovation/news/2019/191015_1.html

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